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Nesma presents Enta Omri, Tribute to Oum Kalthoum

みんぱくの新着資料展示ワークショップ「標交紀の咖啡とは?」に参加している時に,ベリーダンサーの Maasa から,「今,広島にいるのか? Nesma の舞台を観に行っているのか?」と連絡があった.タイミングが悪い時に連絡してくるのは Maasa の常だけれども(苦笑)今回の Nesma の公演のことを知らなかった関西のベリーダンサーは多く,オーディションを受けたかったと口惜しがっているダンサーも何人か知っている.私は東京の公演を観に行くけれど既にチケットは完売しているそうなので,Maasa には Nesma のフェイスブック・ページにあるプロモーション用の動画を教えておいた.

確か春ごろだったと思うが,アオラ・コーポレーションから買った CD に Nesma の公演のチラシが同梱されていた.

私は,スペイン人の Nesma が,アラブの文化に,芸に,命を賭してきた情熱を尊敬している.そして今も続く途上に,アントニオ・ガデスがフラメンコを世界で認められる舞台芸術に昇華させたのと同じ,弛まぬ向上心を連想する.いつの日か Nesma が彼女自身の舞踊団を結成して,すべて自分の舞踊団のメンバーで,世界の名だたる劇場を満席にする日が来ることを,同時代を生きる人間として心から願っている.

アラブ音楽,ことウム・クルスームに対しての,及川景子の思いも冗談事ではない.彼女もまた音楽に命を賭している.

だからあの Nesma が日本でやるということ,そしてチラシに書かれていた「Enta Omri ショウによせて」という及川景子の文を読んだ時、これは冗談事ではないと感じた.

実はウム・クルスーム(Umm Kulthūm)の「あなたは我が人生(Inta `Umr-ī)」「廃墟(al-Aṭlāl)」「これぞ我が夜(Hādhihi Laylat-ī)」「千夜一夜物語(Alf Layla wa Layla)」をそれぞれ単独の舞台として日本人だけでやりたいという思いが私にはずっとあって,そのために芸に生きる覚悟が決まっているベリーダンサーがいないか探し続けている.

今回の公演,ベリーダンスを知らない一般の観客,他の舞台芸術を愛好する観客に評価されることは容易ではないと思う.ただ,舞台に立つということの,芸に生きるということの,覚悟が持てるダンサーが1人でも多く生まれたらと願って,その途上の場に同席出来ることを楽しみにしている.