3年ほど書く書く詐欺をしていて仕事以外でろくに文章を書いていません.理由は老いを認めることが出来ず,老眼鏡を誂えることを拒絶し続けた結果,文字に対する集中力が維持出来なくなったことに因ります.このような往生際の悪い歳の取り方をするとは思っていませんでした.人生の折り返し地点を疾うに過ぎ後何年生きられるかわからない人間が3年もの時間を無駄にした愚かさに漸く気付き,過日,懇意にしているマイスター大学堂に相談して中近両用眼鏡を頼んできました.世界最高峰の累進レンズであるローデンストックのレンズが楽しみです.
さて,錦秋文楽公演を観に行った私が,劇場スタッフと揉めて怒って帰ったという件で,私を知る文楽ファンや技芸員の方達が心配していると聞きました.文楽以外で私を知る人からすれば,「舞台が始まる前に怒って帰ったのは初めてかもしれんけど,最後まで観ずに怒って帰るのはしょっちゅうやで.」でしょうが.
何があったかと言いますと,
- 国立文楽劇場は劇場の湿度を低くしているので水分が摂りたくなった.
- 2階の売店にある自動販売機に飲み物を買いに行ったら半分くらい売り切れていて飲みたいものがなかった.仕方がないので,近所のファミリー・マートに飲み物を買いに行った.
- 飲み物を持って2階に上ろうとしたら劇場スタッフに制止され客席での飲食は禁止だと言われた.
- 客席での飲食が禁止であるということをチケットを購入する前に説明したか?と訊ねたが返事をしなかった.
- 態度に腹が立った私が左手に持っていたアイス珈琲と右手に持っていたペット・ボトルが入った買い物袋を床に叩きつけ,客席に置いてあった荷物を持って出て行った.
ということです.
これだけ読むと,「大人げない.」「くだらない.」と99.9%くらいの方が思うかもしれませんが,私は次の理由により看過出来ません.
帰宅して地下鉄の駅でもらった錦秋文楽公演のチラシを改めて確認すると,表面に「新型コロナウイルス感染予防の対策に、ご理解とご協力をお願いいたします。詳細はホームページをご覧ください。」との注意書きがあることに気がつきました。ホームページを確認したところ,「客席、ロビーでのお食事はご遠慮ください。お食事は、無料休憩所をご利用ください。」との記述がありました.しかしながら,チラシの裏面に書かれているホームページに掲載されている対策の抜粋にはそれが書かれていませんでした.チラシに書かれている抜粋された対策は,
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- ご入場の際、サーモグラフィー等による検温を行います。発熱等の症状がある場合、入場をご遠慮いただきます。
- 列にお並びの際は、他のお客様との間隔を空けてください。
- 必ずマスクを着用願います。
- 客席、ロビー等での大声による会話、舞台への掛け声等はご遠慮ください。
- 手洗いと手指消毒にご協力ください。
- 出演者へのプレゼント、入り待ち、出待ち、楽屋見舞い等はご遠慮ください。
の6点です.ホームページを覧るまでもなく絶対に理解の上,来場して欲しいことが抜粋され『ご来場されるお客様へのお願い』として書かれているはずです.
要するに技芸員を守ることは重要事項として抜粋してチラシには書いていますが,客に迷惑をかけることに関してはホームページにしか書いてないわけです.空気が乾燥している客席で観なければならないお客さんのこと,幕間で食事を摂らなければならないお客さんのこと,関係ないんですよ,文楽協会は.
文楽を応援している客が,どれだけ我慢して文楽を応援しているのかわかっていない.ど下手糞な切り場語りでも我慢している.ファンが待望している大曲が丸一段出来ない人間国宝が,「舞台に命をかけないと人の心は動かすことは出来ない.」とか抜かして喜んで叙勲されることにも我慢している.どこまで甘えたら済むんや.てめえらだけ好かったらええんか.と,私は怒っているわけです.
以上,終わり.
追記:新型コロナ禍で再開した舞台(音楽の演奏会も含む)や映画で,場内での食事は禁止していても飲み物まで禁止しているのは今回が初めての体験でした.