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人形浄瑠璃文楽 平成三十一年初春文楽公演 第1部

2019年1月19日(土)
国立文楽劇場 第153回=文楽公演 平成三十一年一月
人形浄瑠璃文楽 平成三十一年初春文楽公演 第1部

二人禿

番組を組んだ人は新春初笑いを狙ったのでしょうか,なかなか挑戦的な二人禿です.二人禿を語るのは無理だと分かり切っている太夫が揃っていて,兎に角,下手.場末のオカマバーのショーを髣髴させます.文楽で肩を震わせて笑ったのは初めてでした.人形遣いが,「こんな浄瑠璃で踊れるかい!」と床に向かってツッコミを入れる新演出をしたら更に面白かったのにと思いますが,さすがにそこまでは出来ないでしょうか.笑

竹本南都太夫の所作が荒く気になった.立ち振る舞いが美しくない.いい歳こいて肩で風を切って床に出入りする.正月だけに新成人のヤンキー気分なのか.豊竹咲寿太夫はいいかげんチャラチャラするだけではなくて芸にも身を入れて欲しい.

伽羅先代萩

竹の間の段

よくない時の竹本織太夫.余裕がまったくない.竹澤團七はドンカマを聴きながら三味線を弾いているのかと思えるほど,我関せずとただ務めている.

御殿の段

竹本千歳太夫,今日も発した声の最後まで気を抜かない.息を大事に,気を抜かずに音にならないような小さな声になるまで情念を込めて語る太夫は,今は千歳太夫だけだろうと思う.豊澤富助の三味線はそつがなく,千歳太夫の情念に応えられる技量があると思えるだけに,もっと本気になって欲しい.

政岡忠義の段

休演の豊竹咲太夫に代わり織太夫が語る.織太夫が本役の『竹の間の段』よりも格段によい.鶴澤燕三の安定した三味線と相成す間が素晴らしかった.

『竹の間の段』で織太夫がいっぱいいっぱいになってしんどそうに語るので,BMWのローンの支払いで生活が苦しいんかなと思ったのですが,そうではなく,團七と相性がよくないようです.笑

“六代目 竹本織太夫 文楽太夫 × BMW 740i 伝統を重んじ、革新を操る”. Esquire(エスクァイア 日本版). http://sp.mensclub.jp/esquire/car/bmw/1809/, (参照 2019-01-20).

壷坂観音霊験記

土佐町松原の段

豊竹亘太夫の進歩に感激した.「物覚えが悪い.」「鈍い.」「アホの亘.」と散々ボロクソに言われていた亘太夫がこんなに語れるようになったのかと,不器用だけど一生懸命頑張っているんだなと,本当に嬉しかった.人より時間がかかるかもしれないけれど,これからも頑張って欲しい.鶴澤清允は共に学び歩んで行くいい相方かもしれない.

沢市内より山の段(前)

豊竹靖太夫が休演で豊竹芳穂太夫が代役.野澤錦糸の三味線が素晴らしい.気が澄んだ音とともに劇場の端までスパーンと通って行く.初代道八の手組.

沢市内より山の段(奥)

豊竹呂勢太夫に国立文楽劇場は広過ぎる.床の前や座敷で聴くとそれなりの評価がされる太夫.箱が大きくなると気が通らない.何を語っているのかわからなくなる.表現の幅が狭い.鶴澤清治の三味線も太夫に合わせて押さえているのか,気が通らない.兎に角,聴いていられないので,中座した.