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三谷文楽 其礼成心中(それなりしんじゅう)

かみさんに誘われて,三谷幸喜,作・演出の文楽を観てきました.会場は森ノ宮ピロティホール.

余談ですが,公演チケット(公演当日のみ有効)を提示すると,もりのみやキューズモールBASEでの飲食が割引になる「ピロとく」というのが実施されていて,昼飯代がえらい安く済みました.

文楽ということで,和装で来られていた女性が散見されたのですが,森ノ宮ピロティホールは国立文楽劇場のように和装を考慮して座席が設計されていないため,和装の方は帯の結びの分だけ浅く椅子に座る必要があります.そのため,後ろに座っている方の視界を和装の方の上半身が遮ってしまいます.これは和装を推奨するイベントを企画する時は考えなくてはいけないポイントですね.勉強になりました.

私達が座った座席もそうでしたので,なんとか視界が確保出来る私の席をかみさんに譲り,私は最後尾の通路に立って観ることにしたのですが,開演後,空席があったので,そこに座らせてもらいました.

三谷幸喜の人形が前説をし,期待に胸を膨らませて幕開けです.

第一場,三味線が聴いてられないほど下手.三人で弾いているのですが,自信が無く弾くので非常に不安になる演奏です.なので,アーティキュレーション(Articulation)やピッチ(音程)が揃っていないことが余計に気になり,気持ち悪くて聴いてられないのです.

始まって3分で帰りたくなりました.でも,かみさんが取ってくれた高いチケット.放って帰ったら家で大げんかになるよなぁ.でも,聴いてられないよなぁ.大分葛藤し我慢したのですが,やはり耐え切れず,喫煙所に移動.たばこを吸って気を落ち着けて諦めて再入場.ロビーのテレビ・モニターに映される舞台を見ていると,第二場が始まりました.ええやんけ.これなら行ける!と思い客席に戻りました.第三場,アカン,睡眠の時間.第四場,行ける.第五場,なんとか行ける.

カーテンコールがとてもよかった.やはり人形遣いは出遣いをせず,カーテンコールで顔を見せて,遣った人形たちと共に出てくるべきだと思いました.(文楽の出遣い

公演が終り,アンケートを書いて外に出て,待っていたかみさんと合流したら,開口一番,驚くことを言われました.

「第一場,太夫(豊竹呂勢太夫)と三味線(鶴澤清志郎,鶴澤清丈’,鶴澤清公
)が酷くて,このままだらだらと演(や)られたらどうしようかと思った.下手過ぎる.もっと頑張らないと.第二場で,いつもの禿の人(竹本千歳太夫)が太夫で出てきて場を変えてくれた.あの人が引っ張ってくれなかったら終わってた.第二場で三味線もよくなった(鶴澤清介).」

「第一場は三味線だけではなく太夫もダメだと思ったの?」

「ダメだね.まったく語れてない.でも作品としては,いつも文楽(国立文楽劇場で上演されている古典)で不満だと思っていることが全部解消されていて,気持ちよかった.カーテンコールもあなたがいつも言っているように人形遣いの人達が全員顔を出して挨拶して,公演中に出遣いはなかったし,よかったね.三谷幸喜だからここまでさせてもらえたということはあるかもしれないけど,もっと若手の作家や演出家は文楽をやったらいいと思う.文楽は若手にとって作品を創る穴場だと思う.もったいない.」

私は,かみさんの感想に一番驚きました.なんだか嬉しくなり,飯を食って帰りました.