最近は 40m や 2m の国内 QSO でしか見聞する機会がなくなってきましたが,“リスト QSO” も “サフィックス呼び” と同じく,元々は DX の世界から生まれたものです.
昔の DX 交信の録音を聴きますと,リスト QSO も非常に多いです.教師に出席を取られる入学したての小学一年生のように,若き日の大 OM 達がうれしそうに交信をしています.
リスト QSO の一番の問題は,バランスの良いリストをつくることが難しいということだと思います.仲良くやれた牧歌的な時代はよかったのですが,いつのころからか難しくなり,DX の世界では,パイルアップはオープンで競わないと平等ではないという考えが主流になったと思います.
先日行われたナヴァッサ(K1N)のペディション中に昔話を思い出しました.ブーベ(3Y5X)の時に,JA9 の 2 文字コールの OM が,パイロット局がリストを作成している時にチェックインが出来ず,後日,パイロット局に,「ブーベが最後のカントリーなのです.リストに入れて下さい.」と哀願するのですが,「ルールはルールだ.」と拒絶されるという交信がありました.あの方は今生でブーベと交信が出来たのでしょうか.
JA1BWA 高橋 OM の “DX の歴史” から引用します.
いつでも物議を醸す QSO です。今もって、オレは絶対リスト QSO には参加しないという信念の持ち主もいらっしゃいます。それはそれとして、リスト QSO 全てが必要悪というわけで無く、時として有用なこともあるからです。いやむしろ有用な場合が多いのです。ただ、良し悪しは別として、最大の欠点は QSO の能率が非常に悪く、局数が限られるということです。リスト作成時の MC 局の位置、及び国内の伝搬状態により、特定のエリアが割を食う場合が多く、リストに漏れた局の不満は察するものがあります。一定期間決った日時にリスト QSO が行われれば不満も和らぐのでしょうが,1 回限りとなると不満が爆発し,リスト QSO 中妨害を受けたりもします。
書籍には実際に問題になるリスト QSO の例なども書かれていますが,部分引用の範疇を超えると思いますので,全文の引用はいたしません.DX に関する勉強になる情報が沢山書かれていますので(歴史を知らなければ今がわかりませんし,少しでもよりよい未来を考えることは出来ないと私は思います)ぜひご購入されてご一読下さい.
引用・参考
高橋敏夫(JA1BWA), 出島久己(7L4IOU), 久木田春美(JF1PJK). “第2章 DXスタイルの変遷とパソコン”. DXの歴史: 日本から見たDX界の史実を検証. 草野利一(JA1ELY)編. 月刊ファイブナイン, 2004, p.125-125. 月刊ファイブナイン創刊20周年記念出版.
出版者による “DX の歴史” の案内と購入方法
http://www.fivenine.com/dxhi.htm