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Kansai Bellydance Competition in Japan 2016: 感想

日本のベリー・ダンスのコンペでは,楽しそうに踊っていることが何よりも評価されるとは話には聞いていたのですが,コンペを観て,それは一般部門だけに当てはめるべきだと私は思いました.そんな温いことをセミ・プロ部門以上で言っていたら世界で通用するベリー・ダンサーが日本で育たないと思います.実際にそれを入賞した韓国のベリー・ダンサー達に見せつけられたと思います.それでもなお,隙間に楽しそうに踊っている日本人の出演者を入賞させようとした.これは大きな誤りだと私は思います.セミ・プロ部門やプロ部門は経験年数の違いだけで,舞台人として生きて行く覚悟を決めた人間が出るべき場だと思います.本来は舞台で死んでも良い(芸事に命を賭ける)と思っている人間が出る場所であって,ちょっと温すぎるのではないかなと正直思いましたし,それは恐らく日本の先生達が自分たちの生きる場所を作るために温くしているように感じました.グループ部門も組体操やよさこいやソーラン節と同じような心持ちで出ている出場者がいて,そういうことは自分が習っている教室の発表会でやるか,エントリーするならば一般部門であるべきだと思いました.オリエンタル部門では本当に僅かにアラブ音楽の要素が入っているだけの楽曲を使って,ダンスもフュージョンの要素が強い出場者もいました.これは審査で当然認められないだろうと思って観ていたのですが,入賞された方もいて正直驚愕しました.何でもありになってしまっています.公平で権威のあるコンペに育てて行くためにも,次回以降は課題曲を決める方がよいと思いました.あとオリエンタル部門は足が見える衣装を義務づけた方がいいです.スカートで開いている足を隠している出場者が一杯いました.そんなことを許してはダメだと思います.

韓国からの出場者のレベルが高かったですが,日本からの出場者と決定的に違うのは,日本人の殆どの出場者のダンスは運動の延長線上だと言うことです.簡単に言うと体育のダンスです.恐らくこの違いがわかって指導方法が変えられる先生は少ないのではないかと思います.でも,そこを変えないと世界で通用するベリー・ダンサーは育てられないと思います.これは大きな課題だと思います.

舞台人として生きて行く覚悟が決まっている方は,世界クラスの話がわかるバレエの先生か,命を賭けて芸を守り伝えてきた日舞の先生などにベリー・ダンスと並行して舞台芸術を習うことも手だと思います.また,エジプシャン・スタイルの方は,とても難しくて大変ですが,アラビア語も学ぶべきです.なぜかと言うと,古今東西,使用されている言語から自由になった(言語に束縛されていない)音楽というのは存在しないからです.言葉と立ち振る舞いがわからなければ,意味を持たせて踊れませんし,リズムが本質的に理解出来ないです.それから,認識ということは何かと真剣に考えることです.

とりあえず,人のことはどうでもいい.放っておいたらいい.人は人.自分が覚悟を決めることです.なんにもわかってない下手なミュージシャンと一緒にやるより,まともな演奏をしているCDで踊った方がいいですし,志が低い人間と集まって仲良しクラブを作っても何もいいことはありません.時間は有限ですからつまらないことに時間は遣ってはダメです.そして,そういう覚悟が決まったら,舞台はやり直しがきかないことだとわかるはずです.プロ,セミ・プロで活躍している人は,お金と時間を遣ってくれるお客さんに失礼ではない舞台を務めようという気持ちも自然に出てくるはずです.

今後,日本で行なわれるベリー・ダンスのコンペが,外国人の参加を認めないのであれば,今まで通りに仲良しクラブでやれますが,外国人の参加を認めるのであれば,今のやり方では絶対に勝負になりません.なぜかと言うと,観客が凄いといと思う演技をする出演者を選外にすることは出来ないからです.それをやるとベリー・ダンスから人が離れる.自殺行為です.これからは芸術性で勝負する時代です.そうなると食えなくなる先生もいるから仲良しクラブでやってきたのでしょうが,もう無理でしょう.

表彰式で審査員の先生達を見て残念に思った事がありました.姿と立ち振る舞いにプロ意識がない人がいました.ベリー・ダンサーとして憧れられる姿を魅せないとダメです.膝を曲げて不格好にしか歩けないのであればハイヒールなんか履いちゃだめです.エジプシャン・ドレスを着ていたのはLotusさんだけでした.それではダメだと思います.甘すぎる.

Aida BOGOMOLOVAが講評で言っていたベリー・ダンスの歴史や基本を大切に学んで欲しい(全体的にテクニックが弱い)という言葉が印象的でした.それでもオリエンタルのセミ・プロ・ソロ部門とプロ・ソロ部門はオーディションの応募者数が多くて,とても狭き門だったそうです.プロ部門は,「なめてんのか!」と本気で腹が立った出演者もいましたが…….

とまれ,まだまだ日本でのベリー・ダンスやアラブ音楽は歴史が浅くて,一生懸命に取り組んでも,自分の生きている間に花が開かないかもしれません.でも,あなたが頑張って次の世代に繋げて,またあなたの弟子が頑張って次の世代に繋げたら,日本でも花が開くかもしれない.同時代に生きる芸事を愛する人間として,そういう本気の人達がいることは大変嬉しいですし,楽しみでもあり,生きる励みにもなります.頑張って欲しいと思いますし,機会があればまた観に行きたいと思います.

出場者みなさん,おつかれさまでした.次を目指して頑張ってください.先生たちももっと頑張れ.